«月夜の名探偵ツキヨさん☆»登場人物・第一話・第二話へ 第三話~第六話前編へ 第六話後編へ 研究室ふたたびエピローグ(研究室ふたたび)「kitatomy教授、ツキヨさんはなぜ、ここに来られるようになったのですか?」 「ああ…。aithemathくんはまだ居なかったんだね…。 ここ胡難市では以前にも、奇妙な事件があったんです。 その時なぜか、一主婦のツキヨさんが、調べ物のためにここに来られてね…。 で、私が相談に乗ったんですよ。」 秋も深く、柔らかい日差しの入る研究室で、kitatomy教授は、自身が身元引受人となった青年の質問を受けていた。 「その晩、何の調査だったのか、ちょっと疑問だったので、恐る恐るツキヨさんにメールしたら、翌朝すぐに返答メールが来ましてね…。 素早く誠実なお返事に驚き、またその内容について質問したところ、すぐに懇切丁寧なメールが返ってきて、感動したんです。 ひとつ尋ねると、何倍にもなって返ってくるところに、ツキヨさんの素晴らしさを感じてしまいました。 私もツキヨさんの魅力に惹き込まれた一人なんですよ、aithemathくん。」 以前と変わらず、この研究室に勤務できるのも、教授のおかげである。 aithemathは、数ヶ月前とは見違えるような穏やかな眼差しで、目の前の恩人に対して頷きながら微笑んだ。 「教授ぅ~!今夜、いかがですか?!」 卓が右手でクイッと盃をあおるポーズをした。 「卓くん、すまないねぇ…。今日は結婚記念日なので、家内と待ち合わせなんですよ…。」 「あっ!教授っ!それで今日はいつもに増して、ダンディーなんですね! …じゃあ、aithemathさん、二人で行く?」 「はい、お供します。」 aithemathは、卓に向かってニッコリ笑って答えた。 「でも二人ってのも寂しいよなぁ~。そうだ!ツキヨさんにも声をかけようか?」 「ツキヨさんは今日、例の人に面会に行くっておっしゃってましたよ。」 「えっ、何、aithemathさん、ツキヨさんと連絡取ってんの?!」 「はい。あのひとは…私の恩人ですから…。」 なんの屈託もなく、そう口にできるようになったaithemathを見て、卓はジーンとした。 (本当に良かったな、aithemath……ってオレ、ヒナを巣立たせた親鳥の心境??) 卓は、心の中で一人自分にツッコんだ。 ☆ 「お久しぶりです、ツキヨさん。 その節は大変ご迷惑をおかけいたしました。」 「何か困っていらっしゃることはありませんか?Qきちさん。」 「ありがとうございます。大丈夫です。 …私、これでも模範囚なんですよ!一日でも早く出たいと思って、頑張っているんです。 それから、毎日ツキヨさんにお手紙を書くのがとても楽しみで。」 「あっ(汗)!あんまりお返事できなくて、ごめんなさい!」 「(笑)…いいんですよ!ツキヨさんはお忙しいんですから。読んでいただけるだけで、ありがたいです。 …そうだ!2、3日前から書き始めて、さっきやっと書き終わった物があるんです。 あとで読んでいただけますか?」 もはや犯罪者とは思えないような明るい瞳になったQきちを見て、ツキヨはなぜか胸の奥が熱くなった。 心の底から“良かった”と思った。 Qきちから渡された数十枚のA4の紙には、意外に几帳面なQきちの字が並んでいた。 ツキヨは問うように、Qきちを見やった。 「お話を…書いてみたんです。 勝手にお名前を拝借しましたが…」 はにかむように笑ったQきちが、タイトルを指で差し示した。 «月夜の名探偵ツキヨさん☆» THE END 登場人物・第一話・第二話へ 第三話~第六話前編へ 第六話後編へ 研究室ふたたび |